まえがきに代えて
現在、私は税理士だけではなく不動産のコンサルティングも行っています。
バブルの時代は、いわゆるキャピタルゲインがどのくらいたくさん得られたかが重要でした。だから、値上がりしそうなものであれば不動産でも絵画でもゴルフ会員権でも何でも投資対象としてはよかったのです。しかし、今はインカムゲインの時代です。はっきり言って不動産に値上がりを期待するのは難しいですし、それを期待して投資することも誤りだと思います。したがって、本書では不動産であればなんでもいいというのではなく、自宅のような収益を産まないものは投資対象とは考えていません。
しかしながら、不動産は絶対値上がらないという確証もありません。株が以前のような値段に戻ったとしたら、不動産も今の価格のままということはないでしょう。
成功する人というのは機を見るに敏です。今不動産投資には絶好の時期です。バブルの頃の幻影にいつまでも縮んでいるのではなく将来を見据えて積極的な人生をおくるためにも、不動産の購入をともに真剣に考えてみましょう!
第1章 今なら10%の利回りが得られる!
・収益アパートの優位性
バブル後の不動産価格の下落から、ただでさえ価格の安くなった不動産ですが、銀行が担保の処分などを進める結果、更に価格は下落しました。そういった意味では、不動産は大変買いやすい状況です。そのせいで、以前では考えられない年10%前後の利回りのアパートなどが売りに出ます。もともと、お金を稼ぐ不動産ですから、売る方も原野などあまり利用していない不動産を先に売却しアパートなどを急いで売ることはありません。そういった意味では大量に売りにでる事は少ないのですが、買うことができれば、絶好のチャンスを得ることができます。
・不景気だということ
不景気です。これに対する有効な対処方法はあるのでしょうか?最近ではキャッシュフロー経営などといって流動性を重視する傾向が強いようです。しかし、キャッシュフロー経営の重要なのはただ金融資産を持っていればよいということではなく、その資産がきちんと運用されているかという事だと思います。
いい場所に立地しているにもかかわらず、時代の変化とともに収益が悪化し経営が大変な店があったのですが、その土地をコインパーキングにしたところ月100万円以上の収入を確保できた例がありました。頑張って経営をすることは当然重要なのですが、考えてみれば潜在的にそれだけの収益の上がる土地で商売をするのであればそれ以上の収益を上げないと意味の無いことになります。以前スーパーであまり収益の上がらない場所を100円ショップなどに賃貸して賃借料を取っていた例を見たことがあります。資産は、お金を稼ぐという事が重要なのであって、それを所有しているという事自体は重要ではありません。外見よりも実を取るそういった考え方が重要なのです。キャッシュフロー経営とはそういう事だと思います。
・ペイオフを控えて
現在の預金金利は今さら言わなくても皆さんご承知の事でしょう。しかし、そんな金利しかもらえないにもかかわらず、その上に延期されているとはいうもののペイオフ解禁により元本さえも戻ってこなくなる可能性があるのです。また、預けている先である銀行の経営状態だって決して芳しくありません。いくらお人よしの日本人であってももう目覚めるべき時です。
不景気のおかげ?で不動産の価格はバブルの頃とは比べようのないくらい下がっています。東京圏では無理かもしれませが筆者の住んでいる名古屋地区では新築の賃貸用アパートなら8%、中古なら10%〜12%の利回りの物件があります。預金でさえリスクのある時代なのです。不動産投資を考えるなら今が最高のタイミングです。
・ワンルームマンション投資の失敗から学ぶ
筆者自身の恥ずかしい話ですが、税理士に登録する前にワンルームマンションを買って失敗したことがあります。元々不動産に興味はあったのですが、元になるお金も無かったしバブルの時代だったため、安易にそれを買ってしまったのです。価格は値下がって元の価格の約5分の1になりました。
デフレの時代となって、不動産自体の価格が下がった事が失敗の一番大きな要素ですが、ただ利回りさえよければ、ここまで大きな失敗にはなっていませんでした。つまり、単純に考えると利回りが10%の不動産であれば、10年保有することで元が引けるわけですから値下がっても大丈夫なわけです。当時の利回りは恐ろしく低く、損をすることで儲かるという変な理屈のものでした。つまり、不動産の経営で出た赤字をサラリーマンの給与の所得と通算し、所得税を還付させる事で何だか得したような気分にさせることで、その低い利回りをごまかしていたわけです。
もともと、儲からない仕組みですから、不動産が値上がらなければ損をしてしまうのは当然です。こうした後ろ向きの投資をしてはいけません。
・借金は、仕入れである
不動産を買おうとするのならば、借金は避けて通れません。借金を好きな人はあまりいないと思いますが、あまり嫌がらずにいかにしてうまく借金するかを考えることがたいへん重要です。また、借金は普通の商売で考えれば仕入れに相当します。儲けを大きくしようと思えばなるべく安くお金を調達することが必要になります。考えてみれば銀行だって人の金をまた人に貸して儲けているわけですし、株式会社という仕組みだって「自己資本」と、自己という名前は付いていても所詮、株主という他人が拠出したお金を使って商売をしているのです。
幸い、今は超が付くほどの低金利です。借金をするなら、今がチャンスなのです。利回りが10%近くあって、支払う金利が1%から2%台であれば儲かると考えるのが普通ではないでしょうか。
・年金の不安
このままデフレが続くと(たぶん続くと思われますが)いよいよ年金の運用が難しくなってきて、年金が貰えなくなると考えられます。といって、何かそれの対策をしているかというとほとんどの人は何もしていないのが現状です。また、年金を貰おうとする前に会社をリストラされてしまう可能性だって否定できません。そんな世の中になってきているのです。
アパートの収入は、自分が働いて得るものではありませんから、会社をリストラされた時などには、所得を補填する保険の役割を果たします。また、老後は借金も完済している場合が多いので、安全な年金として機能します。
第2章 買ってはいけない不動産とは
・稼がない不動産
日本人は、以前の感覚がまだ残っているので不動産に対して普通の資産のような感覚で接する事ができません。具体的には不動産を売るなんてとんでもない事だとか、若いうちに借金してマイホームを買うのは美徳だといった考え方です。しかし、現実にはどうでしょうか?
将来家を建てたいからといって、借金して土地を買った自営業の人がいます。しかし、家を建てるまでのお金は溜まらず、結局そのまま土地を持っているだけです。そうこうしている内、土地は値下がりし商売も芳しくありません。しかし、長年苦労して買った土地を売るなんてできません。どうでしょう、よくある話だと思いませんか。
マイホームを実際買って住んでいる人だって同じような話はあります。自分が借金して買ったマンションのすぐそばに新しいマンションの建設が始まり価格がずっと安く販売された場合などです。売っても、当然買った値段よりかなり安くしか売れませんし、購入の際の借金も残ったままになります。稼がない不動産を買うと、元本の値上がりがないと哀れな状態になるのです。
・売れない不動産
なんでも売るときと買うときで立場が変われば状況が変わります。不動産でも買うときはお金さえあれば買えるのですが、売るときはすんなりとは売れないものです。法律で、再建築ができない土地の上に建っている家も結構ありますし、土地の形状や場所のせいで、買い手が付かない不動産も結構あります。いくら収益を生みそうな不動産であってもこういった物件は避けるのが賢明です。
・割高な不動産
不動産の価格については後述しますが、アパートではある程度の年数が経った後、更地にして土地のみを売るという場合もあります。従って、あまり価格の中で建物の割合が大きいと損をする事もあります。(税金の面では償却が増えてよいという考えもなりたちますが)
だいたいの土地の価格は国税庁のホームページの中で知ることができます。というのは、「路線価」といって相続税などの申告の際に使われる道路に付した1uあたりの価格をその中で公表しているからです。
土地の価格は、路線価に面積を掛けて算出します。(実際は道路の付き具合などによって値段はかなり変化します。)ただし、この価格は厳密には時価の8掛けと言われていますので、0.8で割れば時価が出るという仕組みです。ただ、都市部以外は倍率適用地域といって路線価の付いていない場所もあります。しかし、そんな地域は最初から投資対象になりませんから、買わないのが賢明です。
・駅から遠い不動産
不動産の価値は、その目的により変化します。最近では駅前の商店街が閑散としたりして時代の変化を感じさせます。そういった点からは、駅前が必ずいいとは言えないのでは?という意見も考えられます。しかし、アパートに関しては、やはり駅に近い立地がベストです。特に建物が新しい場合はともかく、建物が老朽化しても駅に近い物件は入居がよくその分リスクが軽減できます。
第3章 購入する場合に気を付けること
・業者の選定
前章にも書きましたが、どんな不動産を買うかは、大変重要です。それには、まず業者をしっかり選ぶことでしょう。業者にも得意な分野があります。一般には居住用のものを扱う不動産屋が多く、収益物件を扱う業者は意外と少ないものです。後、購入した後の管理をしてくれるかも重要です。場合によっては借り上げしてくれる不動産屋さんもあるようです。
なお、不動産屋さんの手数料は、宅建業法によって定められていて通常は価格の3%+6万円(税別)ですが、場合によってはまけてくれることもあるようです。
・収支と損益
収支というのは、単純にお金が残るのか足りないのかという観点から事業を考えた概念で、損益というのは会計的に儲かっているのかどうかという概念です。
黒字倒産という言葉をご存知でしょうか?計算上儲かっていてもお金が不足して倒産する場合をいいます。不動産をビジネス対象と考える場合このあたりの事をしっかり頭に入れておくことが大変重要です。
*収入(お金が入ってくるもの)には、
家賃
権利金
敷金
税金の還付金などが、あります。
この中で敷金と所得税の還付金は原則として、所得に入れない(損益計算から言えば対象外)ので、お金は入りますが、税金対象にならないという理解をしてください。
*支出(お金の支払い)には、
借入金の返済
管理料
修繕費
火災保険料
税金の支払いなどがあります。
この中では、借入金の返済の内「元金の返済」に相当する部分、修繕費の内「資本的支出」とされる金額、および税金の支払いの内所得税や住民税の支払いは税金を計算する際の経費になりません。資本的支出とは修繕と言うより新規に新しいものに換えたようなものをいいます。(少し難しいのであまり深く考えなくてもいいと思います。)
また、減価償却費といって現金の支出はないのですが経費として認めてくれる費用があります。その計算は、建物の購入価格を法律で決めた耐用年数(建物が壊れず存続するであろうという年数)で割った金額(実際は少し計算が異なりますが)になります。
・管理
管理は、通常業者に委託しますが、信頼できる業者を選ぶことが何より重要です。業者によっては、「一括借り上げ」をするところもあります。「一括借り上げ」とは、入居にかかわらず一定の家賃を支払うというものです。経営は安定しますが、当然支払われた家賃の合計額より低い額が支払い額とされます。入居の際に貰える礼金なども貰えなかったりします。
一般に管理を業者に委託すると入居者の募集からクレーム処理などをしてくれて、月に1度くらい家賃の収支報告書を送ってきたりします。管理料はさまざまですが、だいたい家賃の1割程度でしょうか。
第4章 リスク対策の重要性
・失敗の原因
事業で失敗する原因は、損益や収支に対する甘い見通しに起因することが多いようです。しかし、予期せぬような事態が突然起こって失敗する場合もあります。
不動産運用のリスクについて考えてみましょう。
1)火災や水害
こういった、災害が起きて建物が使えなくなると借入金の返済ができなくなり、たいへんな事態になります。これを防ぐにはやはり保険しかありません。ただ、火災保険でも、建物が焼失した場合自分が思うような保険金が出ないことが多いようです。再建築を考えるなら、保険に入る際「価格協定特約」を付けることをお勧めします。また、地震保険も入っておくべきでしょう。地震保険は単独では入れず、火災保険の付加保険として入ります。水害についても考慮するならば、ただの火災保険ではなく住宅総合保険に入るのがよいでしょう。
2)入居
一括借り上げでないなら、入居についての不安がリスクの最大のものでしょう。実際、建物が古くなってきたら入居率が下がるのが普通です。これを防ぐには、家賃の値下げとリフォームが対策として考えられます。いずれも、所有者にとっては減収原因ですが、これははじめから割り切って考えるしかありません。こういった事を防ぐためにも駅から近い物件など、入居者が付きやすい物件を選定しておくことが重要です。
逆に、入居者に出ていってもらいたいのに退去してくれないという場合もあります。現在の借家法では定期借家権といって、期限を限った賃貸も認めるようになりましたがまだ一般的ではないようです。
また、一般論ですが、ファミリータイプのマンションやアパートでは、子供の学校が変わるから嫌だといった理由も多く聞かれますがワンルームでは単身者が多くあまりこういった点では問題が起きづらいようです。
3)自分の死と相続税
通常の事業であれば、自分が死ぬということは大変なリスクです。そういった点では不動産の場合直ちに事業が危険な事態になるわけではありません。しかし、借入金が残るのは、やはり問題です。これを解決するのはやはり保険です。借入金には通称「団信」といって、生命保険の機能の付いたものもあります。こういった機能が付いていない場合は、自分で生命保険に入っておくとよいでしょう。この場合、保険料が高すぎると収支が悪化しますので、借り入れの期間だけ定期保険(掛け捨ての保険)でかつ、「逓減定期」の保険(次第に保険金が減っていくもの)に入ることが賢明です。
不動産を主な財産とする場合、相続税は現金納付が原則なので支払いができなくなり事業として失敗する可能性が考えられます。こういった場合、物納も考えれますが物納は結構煩雑ですしお勧めできません。やはり、生命保険で一旦借入金を支払ってから、延納などで相続税を分割払いするのがいいのではないかと思います。
4)不動産価格の暴落
借入金で不動産を購入した場合、不動産価格が暴落すると、事業をやめようとする時に借金だけが残るために、やめることができません。たしかに、これは問題です。しかし、対処することはできません。しかし、もともと不動産の値上がりを意図して購入を考えているわけではありません。横着な計算でいえば、年10%の利回りの不動産が10年間存続してくれれば、元の不動産の価格がゼロになっても、理屈の上では大丈夫ということになります。この利回りが10%以上であれば、存続していなくてはいけない期間が10年よりもどんどん少なくなってくるわけですから、もっと価格暴落の危険は少なくなります。
ただ、最近では通過の切り下げなど、国債とか円そのものにもリスクがあるという事を言っている本があるくらいで、むしろ急激な価値の変動に対しては不動産は強いということも言えるかもしれません。
第5章 借り入れの実際
通常の人がアパートを購入する場合、一番問題になるのが借り入れではないでしょうか?というのは、ワンルームマンションの投資などでは、提携のローンなどが付いていて購入と借り入れがセットになっていたりしますが、中古アパートの購入にはそれがないからです(しかし、だいたい苦労しないで手に入るものにあまり価値がないように、提携ローンより自分で直接借りた方が金利などの条件もいいようです)。
私見ですが、借り入れには定型のものとそうでないものがあって、定型のものは借りやすくそうでないものは難しいように思います。例えば、サラリーマンがマイホームを購入するような場合は、その購入がよほど無理でない限り、住宅金融公庫などから借り入れが可能です。更地にアパートを建築する場合も同様です。しかし、これが中古アパートとなると、一般の事業の借り入れと同じになってしまい、難しくなるのです。したがって、まず銀行との付き合いがある程度ある方が、いいかもしれません。筆者の場合、まず国民生活金融公庫に借り入れを依頼しました。そうしたら、既にアパート経営をしていないと貸せないとの返事でした。銀行とは付き合いがあったので、結局銀行から借りましたが、最初は苦労した覚えがあります。
1)銀行からの借り入れ
まず、購入する不動産がいくらぐらいの担保価値のあるものかが、借り入れの計算のスタートです。これは、銀行によって計算方法が異なると思いますが、土地は路線価の7掛けとかかなりきつめに評価されます。また、その購入による損益や収支もみられます。ということは、ある程度の自己資金は絶対必要ということです。また、購入する不動産には銀行により担保が設定されます。信用金庫などでは少し離れた場所の不動産ではダメだという事が多く、この点には注意が必要です。
2)保証協会を使った借り入れ
銀行から借りる場合でも、銀行が自分の所のお金(プロパーのお金と呼ばれています)を中小の事業者に貸すことはなくて、公的機関である保証協会(愛知県の場合、県の保証協会と名古屋市などの保証協会がある)が、別に保証人になるという事を条件に融資をする場合が多いようです。銀行は貸さないとお金儲けになりませんが、なかなか、貸し倒れの心配のない貸付はありません。その点、保証協会が保証してくれていれば貸し倒れの心配はなくなり銀行にとってたいへん望ましい状態になるわけです。借りる方も、ありがたいのですがマイナス面もないわけではありません。
まず、保証料の支払いです。借り入れ金利が1.5%であっても保証料が1%とすると、結局2.5%で借りることになるからです。また、この場合でもやはり購入する不動産には担保が設定されます。ただ、借り入れの際の担保評価が、銀行ほど厳しくないようなので、その点では有利です。借り入れには、一般的に団信もつけられます。
3)国民生活金融公庫からの借り入れ
国民生活金融公庫からの借り入れの特徴は
・金利はかなり安く、固定金利であること。10年以内であれば、通常の金利が適用されます。(現在2%前後)
・担保にする不動産は、購入する不動産ではダメで既に所有している不動産でなくてはダメという変な取り決めがあります。ただし、抵当権の設定に係る登録免許税(登記の為の税金)は非課税です。
・団信もつけられる。
といったことでしょうか。
保証協会の借り入れは、銀行に頼めば手続きをやってくれます。国民生活金融公庫からの借り入れも、やってくれないことはないのですが、いろいろな点で銀行にはうまみがないので、期待しない方がよいでしょう。筆者も直接、国民生活金融公庫とやりとりをしています。また、直接借り入れといっても、ちょっとという場合には「税理士紹介融資」というのもあります(他の税理士会はわかりませんが、名古屋税理士会にはあります)。相談に乗ってくれそうな税理士の先生であれば頼んでみるのもいいかもしれません。私もお客さんが買う際に紹介して喜ばれました。余談ですが、登記の際にも税理士から司法書士を紹介してもらったりすることもいいと思います。
4)金利
金利については、変動か固定か、元利均等か元利均等かなどに注意が必要です。変動か固定かどちらがよいかなどは一概には言えません。ただ、固定であれば計画は立てやすいと思われます。
元利均等とは、月々の返済額が一定の返済方法をいいます。計画は立てやすいのですが、最初の頃は返済のほとんどの部分が利息とされますから、借入金は思ったほど減っていきません。元利均等は、毎月の返済の元金が一定の返済方法です。最初の頃は返済金額が多くなりますから、注意が必要です。
5)担保の種類(抵当と根抵当)
借り入れると、金融機関が不動産を担保にとります。その際、登記をしますが大まかに二つの設定方法があります。通常の抵当権は、例えば、借り入れ5000万円分に設定されたと仮定すると、その借り入れに対するものであることが、登記されます。したがって、返済が進むと、担保に余力が出てまた借り入れの担保に提供することもできます。(5000万円の借り入れが半分返済し終わったとすると、2500万円分別の借り入れの担保にできる可能性が生ずる)
一方、根抵当は、金融機関との間で「極度額」という一定の枠を決めておいて、その金額の範囲内でなら、個別に登記しなくてもずっと継続的に担保が有効になります。したがって、返済が進んでまたその後借り入れるという時は、極度額の範囲内なら新規の登記は不要になり、経済的です。
第6章 税金関係
所得税では、不動産を賃貸して収入があった場合、その収入を「不動産所得」に分類し、所得があった翌年の2月16日から3月15日までの間に「確定申告」をすることになっています。
1)所得税
所得は、いろんな種類があります。サラリーマンの所得は、通常「給与所得」ですが不動産からの賃貸収入は、「不動産所得」を構成します。不動産所得のある人は、通常の申告ではなく、「青色申告」を選択できます。これは、以前本当に青い色の申告用紙だったのですが、そんな申告書の色の違いだけでなくもっと重要な違いがあります。
青色申告では、まず、特典として最高65万円(アパートなら10部屋以上の規模の人に限られます。それ以外は10万円。)の「青色申告特別控除額」を所得からマイナスできます。また、損失が出た場合3年間の繰越控除が認められています。規模が大規模の場合、家族に払った給料を必要経費とできる特典もあります。逆に青色申告では、帳簿の記載要件が厳密です(その為金融機関などからは信頼されるというメリットもありますが)。青色申告をしたい人は、承認申請を税務署に対してしなくてはいけません。
不動産所得の収入は、通常礼金と家賃ですが、敷金の場合でも契約終了時返還しなくてよい金額が確定している場合には収入に含められます。経費としては、借入金の利息、火災保険料(積立金に相当する部分は除きます)、減価償却費、修繕費などです。損益がマイナスになった場合、他に所得があれば通算できます(これを損益通算といいサラリーマンの場合には税金が戻ります)。赤字となった場合には、土地の借り入れに対する部分の借入金の利息は通算対象になりません。
また、不動産を売却の際、差益が出ると、「譲渡所得」という所得になり、「不動産所得」と区別されます。
2)住民税(市県民税)
確定申告をすれば、住民税は自動的に申告しなくてもよくなります。住民税には、青色申告のような制度はありません。また、住民税は税金計算上、必要経費になりません。サラリーマンは、住民税が勤務先で徴収されているのが普通です。
3)事業税
アパートで10室以上の場合、都道府県の税金である「事業税」が課税されます。所得の種類が、不動産所得の場合自分で確定申告もしなくてはいけないし、事業税のような余分な税金が取られるのは不服ですが、法律で決まっている以上、仕方ありません。やはり、事業税も確定申告をすれば、特別な申告手続きは不要になります。また、事業税は、所得税を計算する際には、「租税公課」として、必要経費に算入できます。
4)不動産取得税
文字どおり、不動産を取得した時に1回だけかかる都道府県の税金です。最近安くなりましたが、自宅を買ったときのような特例が使えませんから、原則どおりの支払いになります。
不動産取得税は、アパート経営などの場合、所得税を計算する際には、「租税公課」として、必要経費に算入できます。
また、この税金は都道府県税事務所に申告するのが原則ですが、しないと納付書が送付されてきます。
注意しなくてはいけないのは、購入の際の不動産屋に支払った手数料などは、必要経費に算入できないことです(取得した不動産の価格の一部といった取り扱いになります)。
5)固定資産税(都市計画税含む)
固定資産を保有しているということで支払う市町村に支払う税金です。所得税を計算する際には、「租税公課」として、必要経費に算入できますが、毎年支払うので大変です。木造などのほうが、鉄骨造りなどより評価が低くなり負担は少なくなります。固定資産税は特別な申告をしなくても、自動車の税金と同様に役所から納付書が送付されて支払います。