良寛の書

江戸時代の僧、良寛はその書に人気があります。ぱっと見とても上手とは、見えません。線は細く、字の間も開きすぎだったりします。しかし、この書は、上手に見せてやろうとか思って書いたのではないからか、無駄なもののない言わば癒しの書とでもいった風情があります。
そういった事もあって、文豪夏目漱石を始め良寛の書のファンは大勢います。
ところで、次ページの書は書簡ですが、「あなたの家を訪ねたとき小野道風の『石ずり』(書道の手本)を忘れてきました。こんな風な本で書き出しはこんな風です」といったような事が書かれています。真ん中少し左がその道風の書き出しの部分です。良寛がいつもお手本を持っていたことも解りますし、そらで書けるほど練習していたことも解ります。
ピカソの絵などでも思いますが、でたらめそうに見えてもそのデッサン力は凄い。ちょっとそれと似ている気がしました。
よく何事も基礎が大切だといいます。歌舞伎の市川猿之助はスーパー歌舞伎などを創造し色々新しい事をしましたが、彼はこういっていました。「基礎があって従来と違い新しい事をするのを『型破り』といい、そうでないのは『形無し』といって単なるでたらめだ」と。
また、良寛は、その書からもわかるように自然体で生きた人でした。執着を離れて、ありのまま日々を生きる。本当に強いのは、こういう人なんだと思います。そういう目線で改めて書を見ると細い線の中に強靱な何かを感じます。
企業も、日々の中で改良・改善をしてはじめて何か新しいものが生まれてくるのではと思います。ある日突然新しいものが生まれたように思われても、その裏側では地道な努力の裏付けがあるのです。
