招福
人間には、いろいろな相があるといわれますが、その中にも徳にあふれた福相というものがあります。企業は人間のような顔がありませんが、企業も人間と同じように福を授かりやすいところとそうでないところがあるように思います。
 昔、お店では文字通りの「福助」というものを置いたり招き猫を置いたりしてそういう徳にあやかろうとしました。人間では生まれ持った顔つきとか簡単には変えられませんが、企業ではこうしたことで多少福を呼び込み易いのかとも考えられます。しかし、企業も所詮人間で成り立っているわけですから、招福の基本は人間です。
 先日、ある会社に注文の電話をしました。女性が電話に出て「今、担当者はいません。」とそっけなく答えます。別にその会社でなくてもよかったので、結局よそに注文しました。営業の人に後でその事を言ったらたいへん悔しがっていました。その時にすぐ担当者から折り返しかけさせますとか代わりの者が受けたまわりますとかといった事を言えばそういう事態にはならなかったかもしれません。
 福が来ても案外その事に気づかずに福を逃がしている事が多いのです。福が来るようにする努力も重要ですが、福をさっと自分のものにするといった努力も重要です。変な例ですが、普段スーパーマーケットで値段とかをチェックしていた人は、どこかで特売をしていた時、買った方が得かどうかがすぐ判断できます。
 電話がかかってきたらどうしたらいいのかを普段から考えていれば先程のような失敗は起きません。企業を構成する人間がすべてそうした意識を持っている会社が福を招きやすいところと言えるでしょう。
 招福のためにもう一つ、重要な事があります。それは、「笑顔」と「少し、自分が損をする」という事です。大阪の今宮戎(恵比寿)神社は、商売繁盛の神様として大変有名ですが、その十日戎というお祭りの時に「商売繁盛、笹もってこい!」という掛け声をかけます。この笹が大事だと思うのです。笹は青竹の生命力を表すから大切だといわれていますが、その笹に神社から授与される小宝を付けて参拝客は帰ります。小宝は別に「吉兆」(きっきょう)と呼ばれ、銭叺(ぜにかます)・銭袋・末広・小判・丁銀・烏帽子・臼・小槌・米俵・鯛等の縁起物を束ねたものです。
 招福のために恵比寿さんの笑顔が大切というのはすぐ解ります。しかし、笹など無駄な物です。なくてもよさそうと思うのです。これは、私だけの勝手な考えなのですが、笹は自分が得になることばかりするなという教えのような気がするのです。ちょっとした施しや他人を幸せにしてやろうという心が遠回しに自分を幸せにしてくれるように思われます。