一流とは
 私は昔、中村区に住んでいました。子供の頃よく父親が中村区にあるウナギ屋の「小川屋」という店に連れて行ってくれました。そこは、美味しくてよく行っていたのですがそのすぐそばに、また名店である「トンカツのオゼキ」という店がありました。こちらは、あまり何回もいったことはありませんでしたが、おいしかったことは覚えていました。小川屋は、名東区に支店があるのでそこへはたまに行っていましたがオゼキにはしばらく行っていません。
 この二店とも通りからはかなり入った所でよほど行く気で行かないと見つからないような立地の店です。店もはっきり言って古くて綺麗でもありません。
 先日、たまたま昼食時にそこのそばを通る用事があり、懐かしい気持ちもあって、そのオゼキに行きました。しかし、玄関に大きく「持ち帰りと出前専門」と書いてあって食事は前のようにできないような感じでした。しょうがないなと思っていると中からお婆さんがでてきて、「少しなら席があるので食べられます」と言います。それならということで中に入ったら何人か席に着いて食事をしていました。そのお婆さんはその店のおかみさんらしく、年はとっているけれど動きにスキがなくベテランという感じでした。
 オゼキはたぶんもう50年位は店が続いている(ひょっとしたらもっと?)と思います。また、その間に金山のスポーツセンター前と中村区の鈍池町に支店を出しています。いろんな店が経営危機になる間に潰れずに店をやり続けたことはそれだけで、凄いことです。
 店では、「カツカレー」を注文しました。1100円です。決して安くはありません。味は、さすがに老舗だけあって美味しかったのですが、それよりも感心したのは、あのお婆さんが店の若い男の子に、(僕たちがカツカレーを頼んだわけだから)「水をもう一杯テーブルに置いておくように」とさりげない指示を出していたことです。私が看板を見て行こうかなと思っているときにさっと出てきて、店に誘導した仕草とかも関心しましたが、このお婆さんがこの店を支えていたんだなと思わせた瞬間でした。
 老舗には、さりげない気遣いがあるように思います。それは、お客さんが気づかないささいな事かもしれません。そういった事が自然にできるということがお客さんの気持ちになった応対ができるということなのでしょう。
 「企業は人なり」といいます。人を身なりや外見だけで判断してはいけないように企業もちょっとしたことで、一流かどうかがわかる気がしました。